HSP Seminar #170 “Symposium to Rethink the Construction of Giant Seawall in Tohoku”

甚大地震と大津波は、多くの犠牲者を出しました。ふるさとの暮らしの再建のために、多くの方々が、身を粉にして仕事をしています。とりわけ、同じ土地に暮らし、同じように被災した各地域の自治体の職員の方々の仕事に支えられて、わたしたちは立ち上がろうとしています。

2011年3月11日以後、被災地で暮してきたわたしたちは、もうひとつの社会へむけて歩み出す必要性を感じています。この災害は、途方もない破壊と分断を生み出しています。ひとの生命や財産を守るということがどういうことなのか、根底から問われているように思います。三陸沿岸の人々の暮らしが海からの恵みと脅威の狭間で成立してきたことを、今一度考えたいと思います。

一方、「命を守る」という責任を行政が負わなければならないという、重圧の中から、巨大防潮堤の発想も出て来ざるを得ませんでした。国民の「命を守る」という大きな責務を、行政だけに負わせるのではなく、地域の誰もが分散して分かち合わなければなりません。

各自治体による当初の復興計画では、災害後2年目には、災害復旧事業全体の約6割程度は着手する見込みでした。しかし、今年4月の時点でまだ3割程度であることが報道されました。人材不足や資材高騰のほか、ボトルネックのひとつにあげられるのが、三陸沿岸部全長400キロメートルに及ぶ巨大防潮堤の建設計画です。

巨大防潮堤については、沿岸部に住まう漁師たちからの異論の声も少なくありません。その湾の地形によっては建設の必要な場所もあるでしょう。しかし、これほど巨大なコンクリートの建造物の連なりを、国立公園や国定公園の広がるリアス式海岸につくることへの抵抗は根強いものがあります。津波被害を想定した巨大防潮堤計画は、三陸沿岸のみならず、今後日本列島の広範囲に及んで取り付けられる見込みです。

100年後、200年後の津波や地震にも対応できる持続可能なまち、もしかすると1000年後を見通したまちづくり。「防潮堤」が有効な場所もあるでしょう。景観重視=自然重視で観光をすすめるまちづくりをしたほうがいい場所もあれば、漁業に向いた海岸づくりをするのがいい漁港もあるでしょう。国立公園の連なりを、グリーンベルトにするという考え方もあります。

被災3県のみならず、今後、日本列島全域の災害対応の課題とされている巨大防潮堤について議論します。ぜひご参加ください。

なお、7月10日(水)10時より、宮城県仙台市秋保温泉(場所:木の家ロッジ)にて「防潮堤を意見交換会」を1泊2日でおこないます。参加費用は5千円(宿泊費込み)です。

  • 日時:2013年6月23日(日) 13:00-16:00
  • 場所:東京大学駒場キャンパス 18号館1階 ホール
    (地図はこちら
  • 講師:
    丸山 真人 (東京大学大学院総合文化研究科教授)
    山内 明美 (一橋大学大学院言語社会研究科、宮城県南三陸町)
    三浦 友之(気仙沼市大谷)
    碇川 豊(岩手県大槌町)
    小熊 英二(慶応義塾大学教授)
  • 司会:
    丸山 真人 (東京大学大学院総合文化研究科教授)
    関谷 雄一 (東京大学大学院総合文化研究科准教授)
  • 資料:プログラムリーフレット
  • 主催:東北から日本の未来を考える会
  • 共催:
    東京大学大学院総合文化研究科 「人間の安全保障」プログラム (HSP)
    防潮堤を勉強する会(気仙沼)
  • 後援:「人間の安全保障」フォーラム (HSF)