第231回HSPセミナー「国連の平和構築は不十分なのか」

概要: 2015年に国連で実務経験の長い専門家に対して行われた調査では、平和構築と開発における国連の役割は、人道援助、人権や平和維持における役割と比較して劣っていると考えられていると判明した。特に、紛争に実務経験の多い回答者が、国連の平和構築に批判的であった。

国や地域が紛争後に復興・平和の基盤づくりをするのを、国連が支援する重要性には、異論が出なかった。国連は紛争が勃発した際、また、平和が回復されようとしている際の、最初の頼みの綱である。国連はその際、他の機関と緊密に協力して活動することも多い。しかし、国連は平和維持には経験が多いが、紛争後の処理については、平和維持ほど成功していない。また、紛争防止においては、更に経験値が低い。

2015年に行われた調査では、回答者に平和構築の10段階を評価してもらった。その結果、人道分野と人権の活動はわりと高い評価を得た。しかし、紛争予防や犯罪抑制については比較的評価が低かった。

国連が平和構築により効果的な活動をできない理由は、多くある。明らかな理由の一つは、経済的な問題である。平和構築は長期的で複雑な課程を、ドナーの寛大さに頼って行わなければならないが、全行程が終了する以前にドナーが疲弊する。二つめの理由は10年以上前に設立された平和構築委員会に関係する。平和構築委員会はいまだに安全保障理事会に追随するパートナーとして見られ、批判も多い。平和構築委員会と安全保障理事会はおかしな関係を持つ。委員会は加盟国が自主的に参加する機関で、国連システムの一貫性のなさをうまく補填していない。平和構築はすべての国連の中の組織が関わらなくてはできないが、国連の構造上一貫性のあるアプローチを取るのが難しい。国連機関同士は競争関係にあることが多いが、平和構築ではどの機関が権威を持つのかが明確ではない。四つ目の理由は、国連で開発に関わる機関が技術援助を重視し、平和構築を取り巻く複雑な政治的・治安状況に不慣れなことだ。

このセミナーでは、調査結果の一部を紹介し、講師の国連の開発関連の機関での、ルワンダ・ソマリアや他の国々での実務経験も織り交ぜながら、上記の議論をより詳細に検証する。

※このセミナーは一般公開です。予約不要ですので直接会場にお越しください。

日時: 2017年 6月 20日(火) 18:45 - 20:15
場所: 東京大学駒場キャンパス 18号館 4Fコラボレーションルーム1
講師: ステファン・ブラウン (未来国連開発システムプロジェクト[FUNDS] ディレクター、ニューヨーク市立大学 ラルフ・バンチ国際研究所 シニア・フェエロー)
コメンテーター: 長谷川祐弘 (日本国際平和構築協会 理事長、ルワンダ、東ティモール、西サモアでの国連開発人道支援活動調整官を歴任)
司会: キハラハント愛 (東京大学大学院 総合文化研究科「人間の安全保障」プログラム 准教授)
言語: 英語
資料: 会場で配布予定
主催: 東京大学大学院総合文化研究科「人間の安全保障」プログラム (HSP)
共催: グローバル地域研究機構 (IAGS) 持続的平和研究センター

グローバル地域研究機構 (IAGS) 持続的開発研究センター

グローバル地域研究機構 (IAGS) アフリカ地域研究センター

後援: 国連システム学術評議会