HSP Seminar (#261) “「フェミニズム」と開発――誤認のポリティクスと農業労働の女性化のグローバル/ローカルヒストリー (in Japanese)” (Oct. 19, 2019)
Title | 「フェミニズム」と開発――誤認のポリティクスと農業労働の女性化のグローバル/ローカルヒストリー |
Descriptions | 「女性」の視点に立ったとき、初めて見えてくる不具合がある。フェミニズムの問題意識は、国際開発政策に影響を与え、1970年代より発展途上国/第三世界の女性を対象とする開発プロジェクトの実施に結びついてきた。とりわけ農村部では、女性の耕作の支援がされてきた。しかし、西欧の学術界と権威的な開発援助機関を中心に展開されてきた諸議論は、支援対象となる女性たちの地位と役割、その歴史的変容について誤認を産んできた。そして、「国際社会」の関心のもと、女性たちに多重の役割を課して女性の農業を推進することで、大きな経済変容に見舞われてきた今日のグローバルサウスの「労働の女性化」に想定外に加担してきた。 現在も声高に叫ばれている、女性の耕作への支援の必要性を説く開発言説は、彼女たちの暮らしの何を見えなくさせてきたのか。土地を求め、夫への不満を述べる女性たちの声――開発研究や援助レポートで引用され、現場でも頻繁に聞こえてくる――をどのように分析すべきなのか。本発表では、著書『サバンナのジェンダー――西アフリカ農村経済の民族誌』(明石書店、2019年)をもとに、ポストコロニアル論と開発の交差点で女性の虚像が新たに産みだされた経緯や経済の自由化の分析を加えながら、女性の労働をテーマに直近の現代の農業の歴史を検討する。これをとおして、今後、女性の農業の支援をますます重視している開発政策がはらむ問題について考えたい。 |
Date | October 19, 2019 (Sat.) 14:00 – 17:00 (Reception: –18:00) |
Venue | Collaboration Room 1, Bldg. 18, Komaba Campus, University of Tokyo |
Lecturer | 友松夕香(京都大学) |
Commentator | 佐藤斉華(帝京大学) |
Moderator | 関谷雄一(東京大学) |
Language | Japanese |
Materials | Materials will be distributed on the day at the seminar. |
Organizers | Graduate Program on Human Security (HSP), The University of Tokyo 日本文化人類学会 関東地区研究懇談会 |
Co-organizer | Research Center for Sustainable Development, Institute of Advanced Global Studies (IAGS), The University of Tokyo |
2019.10.15