理念

プログラムの理念と目的

「人間の安全保障」は、21世紀の人類社会の望ましい発展を構想するために提案された、国際社会の新しいコンセプトです。それは、国際関係論などの社会科学のみならず、自然科学や地域研究、人文科学など多様な観点からの研究・教育が必要な分野です。そこで、東京大学大学院総合文化研究科は、2004年4月に、文理横断の全5専攻の協力のもとに新しいタイプの大学院教育プログラムを立ち上げました。それが「人間の安全保障」プログラム(HSP)です。

「人間の安全保障」プログラムの目的は、ひとりひとりの人間が安心して生活できる平和な社会を追求する「人財」を育てることです。「人間の安全保障」を取り巻く問題を深く理解し研究すると同時に、この問題に自ら実践的に関わっていく「人財」。このプログラムは、国際社会に対する新たな貢献を行う、こうした「人財」を養成していくのに、まさに相応しい内容となっています。

「人間の安全保障」プログラムは、従来の大学院総合文化研究科の実績を継承しつつ、これまでの枠組みでは大学院で学ぶことに踏み切れなかった有力な人たちが参加できるように、入試や修了について柔軟なシステムを用意しています。「人間の安全保障」の分野でこれから活躍したい優秀な方々、既に実績をお持ちの方々の積極的な参画を心から期待しています。

プログラムの形態

「人間の安全保障」プログラムは、東京大学・駒場キャンパスにおける研究・教育活動の新しい活動舞台として、大学院総合文化研究科の5専攻を横断する斬新な形態で運営され、現代世界の新しい課題に積極的に取り組んでいます。プログラムを担う教員は、各自の専攻を横断した「国際研究先端大講座」に所属しています。一方、プログラムの学生は、以下の5つの専攻のいずれかに所属しつつ、そこを足場として「人間の安全保障」という新しい課題に取り組みます。

  • 言語情報科学専攻:意思の疎通と相互理解の要であり、人間にとって最も根源的な営みである<言語活動>。その生態環境(エコロジー)を、言語学、文学、記号論、情報処理などの複数の側面から歴史的・社会的・文化的に検証する。
  • 超域文化科学専攻:表象文化論、文化人類学、比較文学比較文化を専門分野とするスタッフが連携し、国家や社会を超えたグローバルな文化現象や、ジャンルを横断する文化的活動への有効なアプローチを提示する。
  • 地域文化研究専攻:様々なレベルでの「地域」の生成、構造、メカニズム、およびそれらの相乗効果として世界各地に発生する政治・社会問題を、哲学、文学、歴史学、社会学、文化人類学、政治学、経済学等々、人文科学、社会科学にまたがる複数の方法を有機的に組み合わせて研究する。
  • 国際社会科学専攻:国際社会を国際政治、国際法、国際経済の3つの側面から捉える国際関係論、社会科学の基礎領域である法、政治、経済、社会についての学問的知識を横断的にとらえ現代の社会現象を総合的に解明する相関社会科学の2つの分野の連携を通じて総合的な社会科学の構築を目指す。
  • 広域科学専攻:分子からヒトまでを包括的に研究する生命環境科学系、自然界の各階層の専門的研究から総合科学のあり方を追及する相関基礎科学系、自然や社会システムを横断的な観点から究める広域システム科学系の3系の力を結集して、21世紀に相応しい融合科学の創成を目指す。